小説

空に浮く城#2

ウラウンには四季がない

常に冬に近しい気温に覆われている

大昔、魔法者がまだ希少ながら今よりも居たのだとされる頃
作物が冬に育つものの方が美味く体に良いとして、統一させたのだという。

外観も歳を重ねる周期も地上の人間とは変わらない¨ウラウンの人々¨は地上人にとっては貴重とされ、売買いにされる事件が多発していた

髪も肌も研究や実験に晒され
時には民1人の値段が20億もの値段がついた事も珍しくない


今日はその会議が行われるのだが…
王アルカナにとっては何よりも重いものであった


「密偵の方はどうなっている。」

「国法律で定め、通路も完全監視した結果…この様な結果に繋がるものは見当たりません。」

「民のどんな者にも餓死をさせる暮らしをさせてもいませんし。」


アルカナは蜂蜜の飴を口にほおり込んだ

輝かしいはずの瞳が漆黒に淀んでいく

「王…、これはグリムデシャルの線が濃厚としか思えません。」

アルカナは横目でフリデシャルに視線を送り、飴を砕き飲み込んだ

「明日、グリムデシャルに直接僕自らが向かう。付き添いはフリデシャルとシグナ、お前が来い。」

会議を早々に終わらせ、アルカナは城の地下へと降りて行った

「シグナ、王とフリデシャルから目を離すな」

会議の中心人物から耳打ちを受けたシグナ。
彼は地上人とウラウンの両方を受け継いだ、唯一の男であった。

王宮に仕えて50年

アルカナがシグナを選んだのは…フリデシャルと今回の危険視人物、¨グリムデシャル¨が兄弟であり

グリムデシャルが残りの魔法者だからであった。













薄暗い地下の一室で
アルカナはカプセルの中に身を置いていた




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