小説

0と4

走った

息が苦しい位走って

追いかける


゙あの人゙を見つけてしまった


心の奥で本当は会いたくないと切に願った
けれど恨んでいた
悔しかった

自分を惨めに思うのもこれでおしまいだ

晴男の目に映る風景は激しく揺れ、信号機の色が混ざり合う

何度も人とぶつかり、それをはねのけ走って走って走った先にアイツがいる

腕を掴み
無理矢理こちらを向かせた


「…晴男?」


男は驚き青ざめた顔をしている


と、
その時自分の両手にあんなに毎日確かめ隠していた紙袋の中身を持っていない事にやっと気付いた


息が乱れ、頭が回らない

何かないか

今出来る何か


「痩せてるが大人になったな、元気か?」

「……。」

「母さんとは今も一緒か?」

「……。」






出来…ない

何も…

聞きたかった言葉さえも

何も…
自分には今何も出来やしない


掴んだ腕を離し、晴男はそのまま引き返した

男が名前を何度か呼んだが振り返らずに只闇雲に下を向いて歩いた
















ガタガタ

ガチャ…

ナイフをおもむろに持った

窓から見える桜を眺め、日が落ちていくその時

窓硝子に映ったあの男の姿にそっくりな自分を見て、強く握ったナイフを硝子が割れるまで殴る様に刺した


桜の花と硝子が土に向かって落ちていく

あらがえない事実があるのだと言い聞かせる様に



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